資金調達の基本 ~金融機関からの融資をお考えの方へ (31)
2016.08.16
11. 金融機関は何を審査している?
今まで散々審査、審査と言ってきましたが、金融機関は実際に何を審査しているのでしょうか?金融機関は融資の審査の際には、融資したお金が本当に返せるかどうかの審査はしていません。
基本的に税引後利益に減価償却費を足し戻した償却前税引後利益が1年間の返済額の合計額を上回らなければ、その会社、事業には返済できるほどの収益力がないということになってしまいます。ではそのような状態であれば、金融機関は融資を断るのでしょうか?そうとは言えません。融資申し込みの際に資料を作成しますが、損益予測は必ず黒字になるように作る必要はないのです。業績が悪いからといって、融資の申し込みが通らないのではないかと悲観する必要はないのです。
実際に赤字決算の会社でも融資を受けることはできます。赤字の会社に融資をしてはいけないという法律や規制もありません。それどころか不況の際には、売上が下がった会社、利益が減った会社向けに制度融資があり、金融機関が積極的にそのような会社に融資を行うケースも多々あります。
原則として、黒字なら融資はOK,赤字だとNGではありますが、そのような決まりはどこにもないので、このような場合が100%融資が通りますといったことがないということです。言い換えると、あらゆる可能性はあると前向きに考えることができます。
金融機関にすれば、極度に売上が下がったからといって、融資をしなかったら倒産を招いてしまい、先に貸していた融資の分が回収不能になってしまったら、金融機関は損害を被ることとなってしまいます。したがって、融資をするか、しないかの基準は必ずしも返せるかどうかではないと言えます。