資金繰りでお悩みの経営者様へ ~資金繰りの基本と重要性~ (20)
10. 節税はほどほどに
中小・零細企業に赤字が多いのは、節税のやりすぎが考えられます。とにかく税金は払いたくないの一心で、出てしまった利益(儲け)をどうにか消そうとします。
例えば、利益が出た場合には、会社の場合には経営者の給料(役員報酬)を増やし、交際費も最大限に使い、保険に駆け込みで入ったりして、できるだけ利益を少なくして、税金を減らそうとします。その結果、最小限の利益しか残りません。これでは実際に儲かっているのか儲かっていないのかわかりません。事情を知っている人ならば、実際は儲かっていると判断できるかも知れませんが、外部の方は事業の内情までは知らない事がほとんどですので、決算書に出ている数字を鵜呑みにするでしょう。
儲かっている時はこれで良いのかも知れませんが、不景気になると資本金以上の赤字となってしまい、債務超過の状態となります。その結果、儲かっていた時に取っていた給料でためた個人のお金を貸すこととなり、債務超過を解消しようとします。これで事業運営が回るのであれば、問題ないかと思いますが、貸借対照表に個人からの貸付金が載っていると、銀行などの印象はあまり良くありません。
また、給料を増やせば、個人の税金は増え、社会保険料の負担が増えてしまったりします。会社の場合の節税は、会社の税金と社長個人の所得税・住民税を合わせて考え、どちらの負担が大きいかを考える必要があります。会社で税金を払ってしまった方が税負担が少なかったなんて事も、実はあったりするのです。
今回まで資金繰りについて述べてきました。これまで触れてきた事がすべてではありません。資金繰りは奥の深いものです。しかし、資金繰りをしっかりと管理と対策をしていかないと倒産してしまいます。あまり、具体例がなく、わかりにくいところが多かったかも知れませんが、これで終わりにしたいと思います。次回からは融資編の予定です。