資金調達の基本 ~金融機関からの融資をお考えの方へ (27)
9. 金融機関の人はわかっていない?
融資を申し込む際には、当然ながら金融機関の担当者と交渉をします。資料を提出したり、その説明をしたり、様々な接点を持つこととなります。したがって、金融機関の担当者は何でも知っているというイメージがあるかと思いますが、そうなのでしょうか?
金融機関の担当者は、決算書の見方や財務分析などを知識としては持っています。金融機関の担当者は税務、財務、法務などについて検定試験を受けさせらるので、勉強をせざるを得ません。その試験も上級クラスになるとかなり高いレベルのものとなります。ただし、中小企業の融資審査では、その学んだものが役立つことがないのです。中小・零細企業の決算書などの資料は、教科書に出てくるようなものはないからです。また、金融機関の担当者は実際の資金繰りについては学んでいないのが実情です。ここで何が言いたいかと言うと、金融機関の担当者に資金繰りの知識がないことを踏まえて、融資交渉することが必要だということです。
ではそのような金融機関の担当者とは、どのような話をすれば良いのでしょうか?箇条書きにして説明させていただきます。
・ 業界全体の状況:ご自身が所属する業界の全体的な経営環境のことをお話しします。
・ 会社の現況:上記の経営環境の変化の中で、どのような影響を受けたかを話します。消費者の動向やライバル企業の様子とご自身の企業の影響をお話しすると良いと思います。
・ 決算書への反映:上記2点を踏まえて、当期の決算書が前期の決算書と比較して、どのようになったか、どうしてそのようになったかをお話しすると良いかと思います。
・ 今期、来期はどのようにするのか?:上記3点を踏まえて、今後何をしていくのかをお話しすると良いと思います。
・ 金融機関に求めること:お金を借りたいのか、返済期間を延ばしてもらいたいのかなど金融機関にしてもらいたいことを、上記を踏まえてお話しすると良いかと思います。
・ 金額について:具体的にいくら必要なのかをお話しします。
これらについて、スムーズにお話しできるように準備をすることが必要となります。日頃から様々なことにアンテナを張っておくことが必要となります。