【前編】人材派遣会社を設立するには?一般的な会社設立との違いと許可要件を解説
「人材派遣会社を立ち上げたい」
「法人を設立すれば、すぐに人材派遣を始められるの?」
これから人材派遣業で起業を検討されている方から、このようなご相談をいただくことがあります。
人材派遣会社も、株式会社や合同会社などを設立する点では一般的な起業と大きな違いはありません。
しかし、会社を設立しただけで人材派遣を始められるわけではありません。
労働者派遣事業を行うためには、一定の要件を満たしたうえで、厚生労働大臣の許可を受ける必要があります。
今回は前編として、人材派遣会社を設立する前に知っておきたい主な許可要件について解説します。
■ 人材派遣業は「許可」が必要
労働者派遣とは、自社で雇用した労働者を派遣先企業へ送り、派遣先の指揮命令のもとで仕事をしてもらう仕組みです。
このような労働者派遣事業を行う場合には、事前に厚生労働大臣の許可を受けなければなりません。
そのため、
・会社を設立する
・派遣スタッフを集める
・取引先を開拓する
だけでは事業を開始できない点に注意が必要です。
■ 特に注意したい「資産要件」
人材派遣会社の設立を検討する際、特に確認しておきたいのが財産的基礎に関する要件です。
原則として1つの事業所で派遣事業を行う場合、
・基準資産額が2,000万円以上
・基準資産額が負債総額の7分の1以上
・自己名義の現金・預金が1,500万円以上
といった要件を満たす必要があります。
ここでいう「基準資産額」とは、単純な売上や資本金の金額ではなく、資産から負債などを差し引いて計算されるものです。
「とりあえず会社を作ってから考えよう」と進めてしまうと、設立後に許可要件を満たしていないことが分かる可能性があります。
■ 派遣元責任者の選任も必要
事業所ごとに「派遣元責任者」を選任する必要があります。
派遣元責任者には、一定の雇用管理経験が求められるほか、所定の派遣元責任者講習を受講する必要があります。
つまり、資金さえ準備できれば誰でもすぐに始められる事業ではありません。
経営者自身が要件を満たすのか、それとも要件を満たす人材を採用するのかについても、設立前に確認しておくことが重要です。
■ 事業所にも要件がある
派遣事業を行う事業所についても、事業を適切に運営できる環境が求められます。
事業所として使用できる面積や独立性、個人情報を適切に管理できる体制なども確認されます。
派遣スタッフの氏名や職歴など、多くの個人情報を扱う事業だからこそ、情報管理体制も重要なポイントです。
■ 会社を作る前から準備することが大切
人材派遣会社の設立では、「法人設立」と「派遣事業の許可」をセットで考えることが重要です。
会社を作ってから要件を確認するのではなく、資金計画や事務所、派遣元責任者などを事前に確認したうえで設立を進めることで、スムーズな事業開始につながります。
後編では、人材派遣会社を設立してから許可を取得し、実際に事業を開始するまでの流れと注意点について解説します。




